ニューエコノミー下の新しい経済常識- 国際競争の激化は賃金上昇を抑制し、米国企業のコスト転嫁を困難としている
- コンピューター投資やその他の省力化技術の急増により労働生産性は統計で確認されている以上に上昇しており、失業率の低下がインフレを引き起こさなくなった
- 企業のリストラは一巡したものの、その後も労働者が賃金上昇よりも雇用安定を重視している
その結果は、「インフレなき経済成長」が可能になったとの論調が強まり、「では目標とする経済成長率を引き上げたら良いではないか」との議論を引き起こしている。
これまでに「ニュー・エコノミー」を論じた主要な論文など
- 1997年の7/8月号「FOREIGNAFFAIRS」の巻頭論文「THE END OF THE BUSINESS CYCLE ? 」(STEVEN WEBER)
- 1997年7月14日号の「BUSINESSWEEK」の「ALAN GREENSPAN'S BRAVE NEW WORLD」
などがある。しかし、一方で批判的意見も数多く出されている。「HARVARD BUSINESS REVIEW」に掲載されたポール・クルーグマンの論文。彼はその中で、「デジタル技術の台頭と国際貿易の拡大が、世界経済のゲームのルールを質的に変えてしまった」( the rise of digital technology and the growth in international trade and investment have qualitatively altered the rules of the game)との議論は間違っていると主張し、以下のように指摘- デジタル技術の拡散による生産性の向上に関しては、統計で証明されていない
- 経済規模全体に占める貿易の割合は、欧州を除いて低い(日本で15%強、アメリカで18%強)
- 従って、フィリップス曲線の考え方を変える根拠はない
と指摘している。クルーグマンは、「設備投資がfullの時には、生産性は労働者の数の増加と労働者の労働生産性の上昇に依存しているが、この二つともアメリカでは伸び率が低い」として、従って今までのスピード以上でアメリカ経済を成長させると、スピード違反が起きると主張。
グリーンスパンFED議長の発言の推移
- 1997年2月26日の ハンフリー・ホーキンス法に基づく証言
- 1997年7月22日のハンフリー・ホーキンス法に基づく議会証言
- 1997年10月29日の「新しい経済」の登場には時間がかかる、との指摘
グリーンスパンははっきりとは言わないものの、彼の技術に対する強い関心や、その文章の記述の仕方を見ると、かなり「ニューエコノミー」的な考え方に傾いていると思われる。しかし、経済の形が変わっていくには、技術の普及が時間を掛けてしか進まないのと同じように時間がかかるという考え方で、市場がそれを先取りして株価を異常なレベルまで押し上げるような事態になるのだけは避けようという考え方のようである。
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