京都の店
 

 出張でよく行く京都は、また「食」でも思い出す店が多い都市でもあります。私が行ったことのある店はごく一部です。しかし、明らかにこの eating のコーナーに残しておきたい店はいくつもある。このコーナーでは、京都で私が推薦できる店を紹介します。

浜作
 大阪西区で大正の末期に生まれた日本最初の板前割烹「浜作」の流れをくむ店。筆者の著書「カウンターから日本が見える」の発想の原点になった店である。八坂神社の坂を上がった鳥居から歩いて数分。電話番号は、075-561-0330。

瓢亭
 お寺が強かった昔の京都。この店は南禅寺の敷地内にあって、土地を借りて400年も操業している。寺社が土地を手放したときに今の形が出来上がった。

 商売を始めた当時からある「くずや」は、サイトにも「館」として紹介があるが、歴史の足跡そものもである。低い天井、歪んだ建て付け。茶室だから狭いのだが、そこで食べる食事は昔の京都そのものである。

 食べていると時々池の鯉が跳ねる。もう少し大きな部屋もあるようだが、瓢亭ではやはりこの部屋だろう。お上がりがあってそこに佇み、それほど手入れしていないようにみえる庭は情緒がある。

 この店の特徴は、本館では7月1日から8月31日まで、別館べはもっと長い期間やっている「朝がゆ」。「昔京都の祇園で夜遊びした旦那衆が......」と説明がある。ハハハ、優雅ですな。いっかい食べたいものです。

 6月の京都はこれというイベントもなく全体に静か。「賑やかしに来てください....」という女将さんの言葉が静かに頭に残った店である。電話番号は、075-771-4116。
米村
  京都のモダン・クイジンといった店です。位置的には、以前は京都ホテルの直ぐ裏にもあったが、今は八坂神社の直ぐ近くにある。知らないと勇気がいる。カウンターと少々の椅子席の店です。二階がバースペース。電話番号は、075-533-6699。

湯豆腐「嵯峨野」
 京都のお豆腐は美味しいと言われる。確かに。京都の冬は寒い。底冷えがする。だから温めた豆腐を食べながら熱燗でも一杯飲めば、からだも温まるというもの。私も好きです。しかし、京都にはたくさん湯豆腐の店がある。紹介しきれないほどです。一般的には南禅寺の門前の店、例えば「順正」などがよく名前を知られている。あとは「奥丹」など。しかし、これは趣味の問題があるのでしょうが、小生は少なくとも「順正」は感心しなかった。その点、遅めのブランチを「嵯峨野」(075-871-6946)でするのは良いかもしれない。あと友人たちが推薦してくれた湯豆腐の店では、「豆菜」(075-213-2900)や豆水楼(電話不明)などが良いようです。また別の方から「湯豆腐だったら”竹仙”(清涼寺境内)も何気においしいですよ。こじんまりして、素朴な味です」というメールも。

わらじや(京都の鰻雑炊)
 京都にはおいしい鰻の料理がありました。雑炊。しかし、並の雑炊ではない。蘭水という歌人が米寿を迎えたときにこの店について次のように詠んだ、という。この歌を印刷した紙に包まれて割り箸が置かれている。

 鰻鍋と鰻雑炊

 鰻は海より川に入るか川にのみ育つままかの問題のあるが 料理の仕方もまた余程困難 殊にその姿のまま骨を抜くは極めて工夫を要するを わらじや主人これを考案して無情の味覚を整え鰻雑炊を案出して 滋養と精分とを増進するなど上戸にも下戸にも満喫の舌触り実に好評無類の京料理

 花よりも京の味 毛津鰻雑炊 米寿 蘭水

075-561-1290 東山区七条通本町東入る。

川床料理
 冬の京都が「湯豆腐」なら、夏は「川床料理」ではないでしょうか。こうした交通手段を使って、「貴船」にいくと数々の旅館があって、夏は各旅館が近くを流れる貴船川の上に木を組み立て、板を渡してそこを床にしてその上で料理を食べます。

 誰が最初に考えたか知りませんが、これが涼しいのです。下には川が流れている。綺麗な水です。その水音を聞きながら料理を食べる。なかなか風情があるし、夏の料理の食べ方としては最高ではないでしょうか。もう何年も前に行って、確か夕暮れにかけて食事をしたと思うのですが、それは気分が良かった。

 小生は知りませんが、「川床料理」は嵐山でも食べられるらしい。しかし、たぶん鞍馬山と貴船山に挟まれた貴船という標高の高いところで、川音を聞きながら食べる料理がなんといっても一番なのではないでしょうか。なかなか遠いので、ある程度予定をしっかり立てていかないと難しい。私はこの地域にある旅館に宿泊したことはありませんが、たぶん宿泊して数日滞在したら最高ではないでしょうか。

くしかんざし「久」
 四条の橋の入り口から先斗町をずずっと入っていって公園(市営駐車場)を抜けたすぐ左側にある小さな店です。4人が入れる小さな部屋がある以外は、カウンター席が10席だけ。中京区先斗町蛸薬師上がる(市営駐車場上がる三件目)で、電話番号は075-255-4749(品良く)。

たん熊 たん熊北店
 「たん熊」は、京都を代表する日本料理屋さんだが、ちょっと複雑である。店が最初に出来たのは今のたん熊の北店(きたみせ)のあるところだ、最初の経営者がその後そこを伯父に譲って木屋町に「たん熊」を作った。木屋町の「たん熊」は座敷中心。HPはここにある。この店でしばらくご主人や女将と話していて面白かったのは

  1. 「たん熊」の名前の由来は、「丹波の熊三郎」から来ているが、京都では平仮名の「ん」が付くのを「運が良い」という風潮があり、最初「丹熊」にしていたのを「丹」を「たん」と平仮名にした
  2. 当代の「熊三郎」さんの祖父がそもそも店を開いたのは、今の北店がある場所だが、その場所を伯父に譲って今の木屋町に移ってきた
 電話番号は、「たん熊」が075-351-1645、「たん熊北店」が075-221-6990。

未在
 京都のある方に教わった「未在」は、落ち着いた印象の、美味しい料理を食べさせてくれる。場所が良い。丸山公園の中。祇園から歩いて八坂神社を右から回り込み、高台寺に抜ける門の前を通り過ぎて、女性専用ホテルの前を通り左に曲がる。もう丸山公園ですが、その中に入っていって、藤棚の向こう側。

 要するに一軒家なんですよ。石畳の階段を上がって玄関を入ると、そこには12席のカウンターの店が。ちょっと椅子と椅子の間隔が狭いと思ったら、2007年からは10席に減らすのだそうです。今のシステムは午後5時半スタートか、午後7時スタート。その2本。客がこれにあわせる。「ごはん(作り)などを考えると、お客さんには申し訳ないがこちらの時間に合わせて頂くのが良いと思いました」とご主人・石原さん。来年からは7時一本にするそうだ。

 高麗橋・吉兆にいらっしたがわけあって辞めて、この店を2年半前に開業。「まだうちはあまり知られていませんので。宣伝もしていません」とご主人。本湖月の穴見さんとは同じ吉兆でお知り合いだそうで、2度ほど見えられたとも。

 料理は美味しかったな。思ったのは、やはり吉兆出身の料理人の作る料理は美味しいということです。料理屋さんの料理をカウンターに持ってきた感じ。だから、彼らの料理は「月1替わり」です。対して浜作の料理は、要するに「割烹料理」で、即興が売り。同じカウンターでも、システムがまったく違う。「未在」や「本湖月」は、食事のコースがきちっと決まっている。「今月はこれで」と。月2回来ても、「出すものは同じ」と。しかし浜作や日本の主立ったカウンターでは、「さ、次は何....」と自分で決めていく。

 私はね、正直言って後者の方が好きです。大体イントロの突き出しにはつきあうとして、その後は自分で最後の食事まで、蕎麦だ、ご飯だ、そのご飯もはらすご飯だ、鯛茶だと自分で決めたいタイプ。中に野菜と魚でも入れて。でも、「未在」や「本湖月」ではその選択はなし。しかしよく準備されているからそれはそれは決まったものでも美味しい。

 「未在」の料理はよく準備され、よく考えられている。食べる側の胃の具合をよく考えて。出てきた食材で、「これはすばらしい」と思ったのは、お造りの魚は良かった。あとは一つ一つの料理がよく考えられている。楽しめると思います。

 正直、月替わりでもう一度行きたい店です。電話番号は、075-551-3310 京都市東山区円山公園内。


 あと行ったことのある店、行きたい店のいくつか。いな梅(075-561-0149 四条花見小路2本下る 稲毛義廣)、わかどり(075-451-9255 京都市北区烏丸紫明東 信号を北東10b、地下鉄烏丸線鞍馬口駅二番出口から北へ約80メートル もも肉葱焼きが秀逸)
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