Internit-Cyberchat

 インターネットは一体どんな商売に向いているんだろうか  ?。この問いに答えを持っている人がいたらお目にかかりたいものだ。今読んでいる本に、「インターネットビジネス」(三石玲子著、技術評論社)があるが、まとまってはいるものの、この本も具体的に何かを示唆してくれているわけではない。そう、実は皆「試行錯誤」の段階である。

 今現在のインターネット・ビジネスの抱える問題はいくつもある。まず、参加者が圧倒的に少ない点。インターネットに日常的にアクセスしている人間の数は、日本全体でもせいぜい200万人と言われている。しかも、その大部分(90%以上)が男であって、しかも年齢は20歳から35歳まで。それをさらに文系、理系の区分けをすると、圧倒的に理系が多い。どうみても、いびつな世界なのである。本当にお金を持っている連中が本格参入していない。

 何時も思うのだが、「女性」が参加しない商売は盛らない。なぜなら、購買力が高いのは日本では明らかに全年齢層において女性だからだ。だから、「日本におけるインターネット・アクセス人口のうち女性の割合は3%」といった説が出回るようでは、日本における「インターネット・ビジネス」が花咲くのはちょっと先のような気もする。

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 しかし、興味深い試みはあちこちで始まっている。7月11日の午前中には長野県の諏訪で興味深いインターネットの使い方をしている会社を見学した。会社の名前は「サトー」。もともとは高級ニット製造販売会社だったが、去年からインターネットに目を付け、Internit」(インターニット)なる商売を始めた。

 仕組みはインターネットの特徴を実に巧みに使っている。パソ通ではできないインターネットならではの、JPEGGIFなどの画像(ペット、好きな人の顔写真、似顔絵などなど)の顧客サイドからサトーへの送付から、すべてが始まる。サトーはそれをコンピューター画像処理して縫製システムに乗せ、「世界で一つしかないセーター」に仕上げるのだが、その過程でサトーと顧客はInteractive にデザインや色についての意見交換を繰り返す。そして、最終的には客の納得できるものができあがるというわけである。一枚4万5000円とちょい高いが、その価値はある。プレゼント、記念、デモンストレーション、など色々な使い方をされているらしい。

 クリントン来日のおりには、クリントン・橋本の似顔絵セーターも依頼されたという。実物がいくつも残っていた。サトーが使っているメール・ソフトはユードラ。添付は簡単である。無論スキャナーもあるから、普通のアナログ写真の持ち込みによる製造も可能。去年の暮れから始めて、出荷は既に350点以上。今年に入ってテレビでもあちこちで取り上げられ、そのたびに問い合わせが殺到するという。

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 このサトーのインターネット・ビジネスの優れているところは、インターネット「ならでは」の特徴をいくつもうまく織り込んでいる点である。

  1. Interactive(双方向)
  2. 画像処理
  3. 独自性
  4. 超「空間」的商売方法

 まだあるかもしれないが、いずれもいかにもINETらしい。顧客は何度も店に足を運ばずにスクリーン上で自分の好みのデザインを参加しながら仕上げていける。しかも、これにかかるコストは、驚くほど安い。2)は、インターネットがこれだけ爆発的な伸びを示している根本のところの問題である。絵があればこそのインターネットであり、文字中心のこの私のサイトは、インターネットの特徴を十分に生かしているとはまだ言えない。

 三番目の「らしさ」は、独自性である。インターネットの世界は、明らかに金太郎飴の世界ではなく、「独自性」の世界だがインターニットはこれを実現している。四番目もインターネットらしい。米国在住の銀行員から、GOLDEN GATE BRIDGEのデザインを受注したこともあるという。超「空間」を地でいくような話である。

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 小生が知る限り、インターネット上の“商売”は今二つの分野で活発化している。一つは、「KUKI」に代表されるHページ系。アメリカのHページも最近はほとんど有料化されて一番進みたいところに行けないもどかしさがある。次は、ウォール・ストリート・ジャーナルなど新聞系が検討している「購読料」の考え方。紙を配達してもらうよりはるかに安い。

 インターネット上の実際の消費者がせいぜい50万人くらいしかいない中では、まだ「利益の上がる商売」をするのは難しいだろう。今までの“商売”の延長線上のネットワークへの持ち込みでは限界があるよな気がする。その点、サトーの試みはインターネットの特徴を良く捉えた注目すべきものと言えよう。メールは、(サトー)に。                     (ycaster 96/07/11)



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