<クラウドを考える-Cyberchat>

コンピューター業界で、新しい潮流が起きている。それは、クラウドである。2010年の初め現在で、新聞各紙にはこの単語が非常に頻度高く使われ、「クラウド」を表題にした講演会には多くの人が集まる。
クラウドとは、「ネットワーク、特にインターネットをベースとしたコンピュータの利用形態である。ユーザーはコンピュータ処理をネットワーク経由で、サービスとして利用する」と定義され、それに関連した言葉としては、「SaaS」「PaaS」「HaaS」などの言葉も使われる。筆者は2010年6月の時点で、「google のブラウザサービス(ドキュメントやカレンダー)」「リコーのquanp」「dropbox」などを使っている。
しかし、日本の企業は興味を持っているものの、その採用には二の足を踏んでいる事実がある。アメリカの企業に比べて、非常に導入率が低いのだ。ここの文章は、私が6月初めに読んだ記事をきっかけに、クラウドに関する私の考え方をまとめたものである。私が考えるきっかけとなった記事は以下の通り。
「クラウド利用、米の4分の1 日本企業の導入14% 基幹業務で遅れ」実は先週(2010年6月第一週)の後半は講演も含めて「クラウド」を考えることが実に多かった。まず私の「日本でクラウドはどのくらい認知されているか、利用されているか」に関する印象を言うと、「みんな興味はある。しかし個人的にも利用している人は少ない。ましてや企業になると」ということでしょう。それが14.8%という数字になっている。インターネット経由でソフトなどを利用する「クラウドコンピューティング」サービスを利用する日本企業の割合は14.8%で、米国の4分の1にとどまることが総務省の調査でわかった。電子メールやデータ保管など情報系システムで利用する割合は日米でほぼ同程度だが、受注販売や生産管理など基幹業務への導入で遅れている実態が浮かび上がった。
調査は野村総合研究所などの協力で、インターネットを使ったアンケート方式で実施した。対象は両国とも500社。クラウドサービスの利用実績の有無や今後の導入予定、どのような業務に採用しているかを尋ねた。
米国ではクラウドサービスを利用している(利用したことがある)と答えた企業は56.2%あった。どのようなサービスに利用しているか聞いたところ、購買システムでの利用は米国企業が25.6%に上る一方、日本企業は7.8%にとどまった。
クラウドサービスを利用すると自社の外部に情報を保管することになる。日本企業は安全性などの面から基幹業務への導入に慎重になっているとみられる。
私がもっぱらクラウドに関する話をした金曜日の講演会の主催者は、「タイトルを”クラウド”にするだけで、人が集まる」と言っていた。これは、日本において「クラウド」がまだ身近にはないが、「そろそろやらねばまずいもの」と考えられている証拠だ。20年ほど前の、インターネットに関する認知が少し進んだ状態に似ている。しかし、実際にはあまり多くの人がやっていなかった。
私はクラウドの話をするときには、会場のどのくらいの人が実際にやっているかを調べるため、挙手をお願いしている。
「dropbox は知っていますか」
「ではevernote は」
「quanp を使っている人」
「グーグルのメールは使っている人はいるでしょう...」
といった感じ。私が聞くのはもっぱら、パブリック・クラウドです。
金曜日にもそれをしたのですが、挙手は実に実に希薄だった。パラパラ。一番手が挙がるのはやはりgmail ですが、次がカレンダー。その辺はまだ多い。といって、会場に居る人の10分の一以下。しかし、documentsやspreadsheets、さらにはpresentations になると数える程です。つまり、シャイで手を挙げない人がいたと仮定しても、そもそも日本では実際にクラウドを使っている人は少ない。
まず考えられるのは、日本の多くの人がたとえばマイクロソフトのオフィス、特にパワーポイントやワード、エクセルなどに慣れてしまったので、ファイルの蓄積もあるし、そのフォーマットを例えばグーグルのドキュメントに変える意志を持ち合わせていない、ということが考えられる。そういう私も、「dropbox」や「quanp」を知ったのは、それほど昔ではない。私は実は先週の前半まで、「新システム嫌い」の日本人の性向が出ていると思っていた。
しかし先週のちょっとした関係者の会話、具体的には講演の後の Q&Aから、日本の企業人のかなりの部分が、「やりたくてもやれない」状況にもあることがわかった。私は言ってみれば一人で動いているわけで、「これを試したい」と思えばすぐにできる。しかしどうやら、企業に席を置く人たちは社内規則、コンプラなど実にいろいろな制約を受けている。つまり、「やりたくてもできない」という状況がある。特にシステム採用においては。
「過去5年間日本のIT業界は、そういう意味では独創的なサービスを考えついていない。あまりも縛りがきつくて」という人もいた。社内規則やコンプラ。いろいろ問題があることは理解できる。クラウドに出して何かあったら誰が責任をとるのか、社会にどう説明するのか....などいろいろあるでしょう。しかしでは、「なぜアメリカの会社は、”受注販売や生産管理など基幹業務への導入”を進められるのか」と思うわけです。だって、アメリカにだって社内規則やコンプラはあるでしょう。
個人で使える限りのクラウドを使っている人間としては、
「こんな便利なものはない」
「もうUSBメモリーなんてもって歩けない」
「ずいぶんとコンピューターの利用にかかるコストが安くなった」
「ほかの人はなぜ使わないんだろう」
と思っている。だって私が使っているクラウドはリコーさんのqunap 以外は全部ただ、またはただの領域のサービスです。私自身は漏洩をあまり心配しない。だって、HPサーバーで公表しているデータが多いのだから。ちょとややこしいデータは、名前を昔からよく知っているリコーさんのquanp に投げている。USBメモリーはほとんど友人にやりました。
これは私の考えですが、企業もクラウドを使うべきだ、と。なぜならコンピューターやそのシステムに関わる固定費を大きく削減できて、企業統治の幅が増えるからです。麻生政権の時のエコシステムもセールスフォース・ドットコムという会社があったから、あれだけ短期間に稼働できた。
この問題をツイッター(私のツイッターID=ycastercom)で議論する中で、二つの点を私から指摘しておきました。日本社会に根深く存在するクラウド消極論に対する私の考え方として。
中小企業が独自にコンピューターシステムを構築し、少ない予算でセキュリティーシステムも作る。私はそこにはシステム上の問題点に加えて、セキュリティー上の問題点も出てくると思う。なぜなら、そうした企業はセキュリティーに逆に多くのお金を掛けられないからだ。結局穴だらけになる。
私が心配するのは、企業としてクラウドをうまく使えるのか、使いこなせるのかは企業の国際競争力に関わると思っているからです。50%を超す企業が基幹システムにまでクラウドを使っているアメリカ。対して日本は、「電子メールやデータ保管など情報系システム」を中心に14.8%では企業の運営コストに差がつくのは明らかです。
総務省の調査には日本とアメリカしか出てこない。しかしおそらく、中国やインドでは有線電話よりも無線の携帯が素早く普及したように、コンピューター・システムといえば”クラウド”という展開になるだろう。ということは、彼らは随分と安いお金でコンピューター・システムを構築し、それを運用するはずだ。
企業がクラウドに勉強はするが採用に躊躇している気持ちはわからないではない。しかし冷静に考えれば、世界のコンピューターの世界が進む道はクラウドでしかない。手元のコンピューターに膨大な資料や複雑なソフトウエアを入れきるのは無理です。日本のベンダーが日本の企業が安心できるクラウドシステムを品揃えしなければならないのは当然として、企業の方も「クラウドで何ができるのか」を考えてシステム展開を図るべきではないのか、と思うのですが。
ーーーーーーーー(以下資料)ーーーーーーーーーー
筆者がまとめたクラウドに関するフリーマインド図式→クラウドに関するマインドマップ
米NIST(標準技術局)によるクラウドコンピューティングの定義
NTTコムが考えるクラウドコンピューティングのメリットと課題
メリット

