<A boy from au −Cyberchat>

 7月の4日から10日間という短い間ですが、オーストラリアの高校一年生James Le Compte君(15才、男子)にホームステイの場を提供しています。杉並区とシドニーの北の郊外に当たるウィロビー市が姉妹都市の関係であることから来たもの。総勢が13人で、それぞれが杉並区の家庭にホームステイ。むろん、ホームステイを受け入れたのは我が家にとっては初めてでしたが、これまでのところ特に大きな問題もなく、双方にとても良い経験になっていると思います。

 どんな子か。まず、シャイでした。表情で分かります。はにかみがある。背丈は既に170センチ近くあって、私と同じくらい。13人の中では、彼は小さい方。痩せ形です。物静かで、不必要なことはしゃべらない。しかし相手を不快にはさせない。最初会ったときに、「静かな子だな」という印象でした。礼儀正しい。挨拶がきちんとできる、表情も豊かでした。「挨拶がきちんとできる」というのは、人間関係を気持ちよくするために、非常に重要な条件です。

 しかし、実際には見ていませんが、サーフィンとマウンテンバイクが好きという活動的な面もある。昼間は我が家の子供(中学生、男子、13才)と学校に行き、夕方帰ってくるという毎日。土日は我々家族と一緒でした。オーストラリアで2年間週に2時間日本語を勉強しているということで、挨拶ぐらいはできる。中学の全校生徒の前で挨拶もしていますから、大したものです。しかし、早い会話には当然ついていけない。

 ――――――――――

 いろいろな所に連れて行きました。がなにせ東京が灼熱の5日、6日が一番自由な週末だったから大変。冬から来た彼には酷だろうと思って、この両日は昼寝をさせました。無理にではなく「free timeだ」と言ってほったらかしたら寝ていた。疲れていたのだと思います。でも結構動き回りましたね。都庁の展望台から東京を眺めさせたり、新宿の雑踏を体験させたり、豊島園のプールで泳がせたり。さらには、深大寺(調布)の蕎麦屋でそばを食べさせたり。ちょっとハードなスケジュールでした。

 彼に「日本に来て何を感じたか」という質問をしました。答えが三つ返ってきました。

第一は、月並みですが「人が多い」という事

第二は、エレクトロニクスが凄いという事

第三は、公共輸送機関が発達しているという事

 

 最初の印象である「人が多い」というのを彼が一番感じたのは、6日の日曜日に豊島園に連れて行ったためもあるようです。周りをしばらく見たあとで一言、「so many people」と呟いた。あの広い土地で4000万人くらいしかいない国、そして人口5万人強の街「ウィロビー」から来たのですから、東京で「人が多い」と思ったとしても不思議ではない。もっとも、6日の豊島園なら日本人でも「人が多い」と思いますが。

 第二の「エレクトロニクス」については、「具体的に何か」と聞いたら「ウォッシュレット」と応えました。オーストラリアではまだほとんどないそうです。また、ありとあらゆる場所に「エレクトロニクス」が埋め込まれていることにも関心を示していました。

(^_^)(^_^)

 第三の「便利な公共輸送機関の存在」は、一家に車が2〜3台が普通の国から来たらそう感じたとしても不思議ではない。5、6の両日は地下鉄、JR、バス、それにタクシーと日頃我が家が使っているすべての交通機関を使いましたし、当然ながらどの交通機関もあまり待たずに直ぐ来る、そして直ぐ出発するというのが印象的だったようです。もう10年も前ですが、ニューヨークで一緒だったシンガポールの友達の日本に対する第一印象も、「公共交通機関が凄い」というものだったことを思い出します。世界の都会の中でも、むろん東京は公共交通機関ナンバー・ワンです。これは間違いない。

 ――――――――――

 「まだ子供なんだ」と思ったのは、プレイステーションやセガでゲームをしている時の顔。あれは、世界中同じではないでしょうか。日本の子供達とちっとも変わるところがない。オーストラリアの家にはプレステもセガもないのだそうで、時間さえ見つけては我が家の子供の部屋に入って遊んでいました。

 ただ一つ我が家の子供と違ったのは、パーソナル・コンピューターに関しても非常に深い関心を示したし、知識もあったことです。まあ、彼の趣味の中に「コンピューター」というのがありましたから、ある程度予想はしていましたが。我が家で一番目を輝かせて見ていたのがISDNであり、ペンティアム200が入ったマシーンであり、3台のコンピューターをつなぐLANでした。オーストラリアでは、まだISDNは一般的ではないのだそうです。ペンティアム200にも、一台のコンピューターに64のメモリーを入れていることにも驚いていたようでした。

 インターネット歴は4ヶ月だそうです。ちょっとそそのかした面があるのですが、来た初日に早速我が家のネットを使ってオーストラリアの友達3人と両親にe-mailを打っていました。そしてその返事も遅滞なく返ってきていた。その後は毎日メールをやりとりしている。世の中、便利になったのです。私はといえば、デジタル・カメラで我々と一緒の彼の写真をとって、インターネットの私のホームページに張り付け、オーストラリアの彼の友達や両親が見られるようにしました。これは結構面白い実験でしたが、好評でした。

 日本の子供達(15才前後)のコンピューター利用がどのくらい進んでいるかは少ない例しか知りませんし、James君がオーストラリアの代表的な少年とも思いませんが、ネットワークの使い方はたとえ日本のような最新式の機械を使っていなくてもかなり進んでいるという印象でした。何よりも、ネットワークですから相手がいなければいけない。彼はちゃんとオーストラリアにそうした相手を持っているのです。少なくとも我が家の息子には、ネット仲間はまだいない。

 彼のコンピューターに関する質問(数多くありました)はほとんど私程度の知識で処理できましたが、マイクロソフトのNetmeetingをやりたいと言ってきたときにはちょと焦りましたね。私もやったことがなかった。Netmeetingとは、インターネットを使って最高32人の人をつないで会話、データのやりとりをするシステムです。私も少し勉強して、彼もオーストラリアの友達を呼んでなんとか成功しました。

 ――――――――――

 マウンテンバイクが好き、ということで時間を見つけて自転車で家の周りを回ったりしました。嬉しそうでしたね。海外のガキどもが自転車に乗っていると言えば、直ぐに「ET」を思い出す。オーストラリアでは好きで、一回自転車に乗ると2時間くらい乗っているそうです。最近「自転車事故」を起こして、家の自転車は前輪がまがったままで動かないのだそうです。

 家の中ではなるべく日本語でやろうと思いました。「日本語のブラッシュアップ」が来日の一つの目標ですから。しかし、こちらが下手でも英語が出来ると分かると、つい向こうも英語でしゃべる、こちらも応える。困ったことが起きたのは、まるで英語がしゃべれない13才の息子が浮いてしまったこと。ウーン、難しい。そこで、「Japanese only」の日を設けたりしました。笑ったのは、ある日私と息子で一時間だけ麻雀を教えたんですな。「数字の勉強になる」と思って。そしたら、「撥」「4ピン」のしゃぼで四暗刻をてんぱったこと。結局上がれませんでしたが。

 注意したことは二つありました。一つは、食事の時肘を付いて食べる癖があったこと。これは直させました。もう一つは家の中で帽子をかぶっていたこと。まあ、5、6の土日は家の中でも帽子をかぶっていたい気持ちは分かりますが....。

 我が家にいた10日間を含めても全部で1ヶ月くらいの滞日。短い。しかし、15才という感受性の強いときに日本に来たことが彼の人生にプラスになってくれればと思います。我が家にとっても海外の経験はありますが、10日間も人種、出身地がまったく違う人間を受け入れたのは初めて。勉強になっている。一、二年したらまた受け入れたい。英会話の勉強にも少しは役立つし.....(97年7月記)

 追記=ジェームズは私に影響されたのか(^_^)(^_^)、オーストラリアに帰って自分のホームページを作りました。なかなか素早いでしょう。熱心な子供です。



ALL RIGHTS ARE RESERVED.Copyright(c)1996 伊藤 洋一