<上海、繁栄と危うさ 中国都市経済の象徴-2013年冬-Cyberchat>

久しぶりに上海に行ってきました。12月の忙しい月の後半に。講演の依頼があったためですが、尖閣や防空識別圏の問題で日中間にぎくしゃくが生じているからこそと思ったし、さらに中国の大都市が置かれている大気汚染の状況もこの目で見たかった。さらに言えば、上海の人々が今現在どんな顔をして生活しているのかも久しぶりに....。

 私としては残念だったのですが(上海の方々には失礼)、滞在した3日間(2013年12月17〜19日)は、上海の空気は綺麗だった。現地に駐在している日本人の方々が思わず笑顔になるほど良かったのです。景色も良く見えたし、PM2.5の数値も低かった。雨が続き、そして強い風もあったためで、外灘(ワイタン)沿いの店からワイタン(湾曲しているので)、そして浦東(プートン)が実に綺麗に見えた。(その写真は文書の最後の方にあります)

今の上海のワンツースリー 右から金茂、上海中心、球環  しかしその日の外灘からの夜景ほどに、中国の今後がクリアに見えたかと言えば、それは違う。今回行って何よりも興味深かったのは、中国の人たち自身が、「この先はどうなるのだろう」と思い悩んでいることだった。考えてみれば当たり前だ。なにせ中国の行方は、中国の人にこそ問題だ。その中で、中国の人々も今の政治・経済体制が継続するかどうかへの不安感を強めている、と私は思った。中国の今の体制、そして状況は、中国に人々にとっても「あまりにいろいろなことが起きすぎる環境」なのだろう。

 短い滞在でしたが、いろいろなことを考えました。この文章は今回の上海の3日間で考えたことです。上海は今後も定期点検していきたい街です。

 《大国のコスト》
 私にとってもそんな思いが浮かぶとは予想外でしたが、上海の街を移動しながらふと思ったのは、「中国の今の体制はこれから膨大なコストをかけながら国家を維持していく必要がある。それに耐えられるだろうか」というものでした。月に無人機ロボットを軟着陸させて探査を始めたのは国威発揚に役立つから「元は取った」と言えるかも知れないが、その他の国家運営コストはそれほど大きな見返りのないまま、そして国民の不満との複雑な関数の中で増大し続けている。

その他のビルも林立  警察・軍隊などの権力機構のコスト維持は凄まじい水準に達しているし、なおかつ増大しつつある。それは中国の国家予算を見れば明らかで、特に国内治安維持にかかる警察機構は人民警察、人民武装警察など何重にもなっていて、かつそれぞれが大きくなっている。一つにはチベットや新疆ウイグル自治区の民族問題対策があり、他方には頻発し、かつテロ化している国内での暴力事件や群体性事件に対する対処が必要だからだ。

 中国の体制維持には「コストがかかっている」ということは、外国人である我々も直面する。中国に行って半日くらいはスマホでフェースブックに写真などをアップできる。つまり使えるのだ。「今の上海の夜景は綺麗です....」といったコメント付きのやつだ。しかしそれがなぜか半日もすると、持ち込んだィスマホでもフェースブックそのものが開かなくなり(PCでは最初から無理 ツイッターも同様)、当然ながら「アップ不能」となる。誰かがじっと監視しているから出来る所行だ。きっと大勢いるに違いない。海外から入ってくる旅行者のスマホも全部監視している中国。NHKがチベットや尖閣の報道をすれば、そのたびに瞬間に画面が消えるのも、誰かが手動でやっている。ご苦労なことだ。「この国家体制の維持には、先進国にないコストがいっぱいかかっている」と思わせられる。

上海の人はトマトに砂糖をかけて食べる  その他にもいっぱいコストがかかっている。対ベトナムでの戦争(1979年)以来中国軍はらしき戦争をしていないが、国防費は膨張の一途で、国家予算の中でその存在感は高まる一方だ。その一方で、「社会保障関連予算」は、農民へも少額の年金支払いを始めたことによって、そして中国も少子高齢化が進むことによって、雪だるま式に増えることが予想される。

 アメリカも第二次世界大戦以降の国際関係維持の中で膨大な「大国のコスト」を支払ってきた。その中には数次にわたる戦争が含まれ、かつ今でも世界中に軍隊を展開しているという客観的状況がある。中国は戦争はしていない。ただしアメリカの国内警察費が強制的削減プロセス下にあるのに対して(それは犯罪増加など住民の犠牲において)、中国の「大国のコスト」「共産党政権維持のコスト」は今後増大する一方だろうと予想される。それを止めると体制維持が出来ない可能性があるからだ。また中国自身は東シナ海だ南シナ海だと、海外への動きも強めている。それもコストがかかる。資源などの見返りは少ない。

 「では誰がそのコストを負っているのか」というのは今回の中国訪問の私の一つのテーマだった。調べて分かったのは、その65%近くが日本で言う「消費税」(増値税、営業税、それから旧物品税)で賄われている、ということ。これは驚きでした。日本での税収全体に占める消費税の割合は25%程度(3%のアップで上がるでしょうが)。つまり中国では貧しい、豊かに関係なく国民からあまねく取っている。一部の商品(食料品など)については13%の軽減税率が適用されているようですが、それは買う人誰にでも適用されるので、言ってみれば「国民全体が大国のコスト、体制維持のコストを支払っている」と言うことになる。にもかかわらず今の体制の中で少しも恩恵を受けていない、と思う国民階層は多いに違いない。それが国内での不満・不安定に繋がっているとも見れる。

顔の仮面を瞬きするまもなく見事に各種・何回も替える  日本では個人所得税と法人税の割合が、各約半分で併せて税収全体の半分ほど。対してこの両税からのあがりは中国では25%程度しかない。かつその中でも個人所得税の割合(全体の5%ほどです)が小さいと言うことは、お金をたくさんもらっている、何らかの形で大金を手にした人たちは、中国ではとっても恵まれた生活を出来るということになる。だってそうでしょう。個人所得税がそもそも非常に少ないからだ。何らかの形で稼げば稼ぐほど、そのお金は残る。かつ相続税がないので、子孫に残せる。

 これは現地に住む人が教えてくれたのですが、「13億人も人口があるのに、個人所得税を支払っているのは中国ではたったの4000万人程度」だという。年間2000万台の車が売れる中国にあって、信じられない数字だ。きっとマンションや車からたいそうなものを持っていても、大部分の中国の人は、消費税以外には個人にかかる税金は全く支払っていない人が数多いのだろう。金持ち天国 ?

 つまりこういうことだ。「体制を維持しているのは国民全員が支払う消費税だが、その恩恵を受けているのは税を支払っても僅かで、何かと権力の恩恵を受けられる共産党員、国営企業の従業員、政府の高官などに限られていて、彼等にはあっても少額な個人所得税がかかるだけだ」という現実。別の見方をすれば、「個人所得税をもっと増やせば、中国の財政余力は高まる」とも言える。しかし分かったことは、今の中国の体制は、ある意味では平等に、しかし「国民一人一人には”資力”という格差がある」という現実的な観点からは酷く不平等な税制によって支えられている」ということだ。これではチベットや新疆ウイグル自治区の人々だけではなく、大多数を占める漢族の人々の中からも「ふざけるな」と思う人は出てくるだろう。

《ソフトは今だし》
 そんなことを思いながら街を歩いていても、街の発展ぶりそのものは素晴らしい、と思う。何よりも、上海は上に下にますますでかくなっている。地下には14路線という世界最長の地下鉄網が張り巡らされ、地上には浦東に128階建てとして建設途上の「上海中心」が既に聳え立っていた。2015年完成予定だが、その直ぐ隣に「金茂」(88階建て)と「環球」(100階建て)という過去の上海ナンバーワン・ビルが並ぶので実に壮観だ。

 私の手元に一つの写真がある。2002年にフジテレビの番組で上海に取材に行ったとき、「将来の上海の姿(具体的にはプートン)」として取材先から渡されたものだ。球環ビルの上がまだ丸くなっている。今立っているビルは四角だ。ワイタンサイドから見ながら、「当時の予想図以上に今の上海は近代都市に変貌している」と思いました。

 街の印象もしばらく前とは随分と変わった。とにかく道が広い。加えてその道を走る車は格段に大きく、かつ立派・綺麗になった。街全体も昔の面影は少なくとも表通りでは消えつつある。化粧はまだ下手だが、街行く女性達の着ているものは日本とほぼ変わらない。何せ上海は中国で一番市民の平均所得が高い。ここに集積する国内外の金融やIT産業が、平均月3万円と言われる中国沿岸地方の工場労働者の賃金の2.5倍〜4倍のレベルで新卒の社員を迎え入れている。かつ彼等のその後の所得の伸びも高い。恐らく彼等がもらっている給与は、自分の親のそれを軽く上回るのだろう。上海の商業モールには世界のブランドが大規模店で、かつ集積して進出している。上海にはそれだけの購買力があるのだ。

 むろん表通りを一本入れば、昔ながらのちっちゃな家や商店が雑然と並んでいるのは変わらない。そこには表通りを闊歩しているビジネスマンやビジネスウーマンとはまた違った方々がどちらかと言えばワンテンポ遅いスピードで時間を過ごしているようにも思う。10年前に取材したときに印象的だったのは、上海に住む人誰に聞いても昔の上海を懐かしむ人誰一人として亡く、「上海の今の変化は好ましい。いつか私もその都市の進化に参加できるから」と言っていたのを思い出す。「古い上海」を懐かしむ日本人が多かった中で、「上海の人は街の著しい変化を歓迎している」と思ったものだ。

 しかし今回、街を歩きながら「今同じ質問をしても、同じ答えが返ってくるのだろうか」と思った。景観の変化(それは一部刮目すべきものがある)ばかりでなく、空気の悪化など以前の上海にはなかったことが起きているからだ。しかし今回はそれを聞く時間はなかった。古き上海と新しい上海。それが同居している今の上海。その上海にあって新旧をうまく融合したのが「新天地」であり、だからこそあそこは統一感があるのではないか、と思った。上海の新天地の近くで生まれたキムさんによれば、新天地の街並みはまさに彼女が生まれたその時の昔の上海と同じだという。

 しかし、ハードはばかでかく、上に下にと伸びているが、依然として「ソフト面ではまだしも」という印象が強い。今回もカンパリソーダチェックをしたが、どうもしっくりこない。まだ上海の人にはカクテルはあまりなじんでいない印象がある。中華料理も以前よりは美味しくなったが、まだ東京のそれの方が美味しい。やはりどんな高級料理店に行っても「成長剤」の懸念が頭の片隅にあるのはいただけない。ただし昔中国に来たときには「どのレストランも同じメニュー」だったことを想起すれば、今の上海のレストランはまだ楽しめる。川劇などは面白かった。

  《政権の功罪》
 上海の地下鉄網が世界の都市の中で最長になり、東京をはるかに上回る高層ビルがどしどし建っていく姿を見ながら、「問題を山ほど残しているのは確かだが、今までの中国の高度成長はまずは中国にとっての成果だ」と考えると同時に、「問題はこれからだ」と改めて思った。今の成果は、それを率いた中国共産党の成果でもある。話しをした数人の中国の若者も、繁栄に参画できているからかも知れないが、「これまでは良かった。問題はこれからです」と言っていた。その意味はよく分かる。中国の人は、我々日本人が聞く以上に、中国の現状(環境汚染、所得の格差、共産党政権の疲弊・不平等など)をよく知っている。「これからどうなるのか」と心配なのだ。

 日本での中国報道の中には、戦後を率いてきた共産党政権の中に”功”が全くないような見方をする向きもあるが、そうではないと思う。例えば中国の人に、「今中国で先進国並の選挙をやったらどうなりますか」と聞くと、「メチャメチャになるでしょう」という答えが圧倒的だ。つまり今の中国が戦後の国家樹立の時でもそうだし、今でも選挙をベースにした民主制に一気に進めるとは考えていないのだ。それは日本に暮らす中国出身のエコノミストの間でも一般的な見方だ。だとしても「共産党政権以外の何らかの形で政権」と考えるが、建国の当時はそれは無理だったし、今でもなかなか解答は出てこない。「受け皿がない」のが今の中国の一番の大きな問題なのだ。

 それにしても中国の「時間軸」は、例えば日本のそれなどとはかなり違うと思う。今のいびつな体制がいつまでも長持ちすると考えている人は中国人の間でも少ない。だから、人民日報も認めているとおり、財産を持ち出して海外に逃げる役人の数は毎年万の単位になっている。役人がそうだから、何らかの形で資産を形成した一般の中国人の中国離れはかなり進んでいる。かれらの多くは「今の中国の体制は長持ちしない」と考えている。しかしでは、「いつ」と問われると、「その時間軸は、我々日本人のそれは違うかも知れないな」とも思う。私が驚いたのは、防空識別圏の問題で中国空軍のスポークスマンが、「日本は既に44年にわたって防空識別圏を設定している。日本がそれを解除するというなら、44年後に中国も識別圏を解除しても良い」と言ったときだ。「44年という時間軸を平気で口に出す中国の人たち」という印象だった。

 だから私は早いほうが良いと思うが、天安門の広場から毛沢東の肖像が消えるのにはそうとう時間がかかるかもしれない。巨大な問題を抱えながら、中国は「受け皿」がないが故に、今までの共産党の一党支配を続けるかも知れない。何らかの内的ショックがなければ。私が”内的”とわざわざ書いたのは、中国は恐らく外からの圧力では変わらないと思うからだ。既に今でも内部でフツフツとマグマがたまっている印象がするが、それがどう横の連携と「受け皿作り」に発展するのか。そんなことは政府も分かっているから、マグマそのものの沈静化を図ると同時に、「受け皿」の形成を阻止しようとするだろう。当面はその戦いが、政策を含めて中国の動向のポイントになるような気がする。

 あと小耳に挟んで「面白い」と思ったことは、四川大地震の時には上海は「震度1」だったそうで、高層ビルも少し振動したのだそうです。で何が起きたかというと、大部分の人が下に降りて、公園などでしばらく時間を過ごしたそうな。あれだけ高いビルを立てて、そりゃ潜在的には心配でしょう。あと思ったのは、これだけ一緒の時期に高層ビルを立てると、その劣化も同時に進む。「どうするんだろう」ということかな。
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 以下は日々に書いた文章です。ご参考までに。

 


2013年12月23日(月曜日)

 (09:25)やっぱし年末はあれやこれや忙しいですわ。放送は撮りだめしなければならないし、月2などの原稿は早めに収めなければならない。今年は上海に行っていたので、ちょっと詰まりました。

 それにしても、この3連休はどこに行っても人出が多かったですね。まあ3連休になったせいで、皆さんまとまった休みが取れたということでしょう。どこに行っても普段の2〜3倍の人出。かつ道も凄く混んでいた。

銀行の連中と 凄く奇麗になった新天地で  今上海を久しぶりに訪問したことに関連して、記事を纏めていますが、それはまとまり次第ネットにもアップします。しかし本当に短い滞在でしたが、面白かった。

 講演を依頼してきた銀行支店の連中とずっと入れ替わり立ち替わりを含めて一緒だったし、その中には上海や北京に住む中国人有力スタッフもいたので、存分に中国の話を聞けたし、私自身も短いながら上海の街を見て歩けた。

 懐かしかったのは新天地かな。もう10年以上前から上海ではもっとも古きと新しきが混ざり合った洒落た街でした。ただただブランドショップが並ぶといった中心部には興味はないが、新天地は「古き上海の町並み」を再現しながら、新しい店を展開している。

 その古い街並みの一角には、中国共産党が第一回会合を開いた建物(綺麗に修復されていますが)があって、写真はその前で撮ったものです。  食事を終えた後10人ほどでジャズの店に入りましたが、そこも満杯。他の店もかなり人が入っている印象。10年以上前に行った時には、「まだ作ってます」という印象だった。今はほぼ完成かな。

 今日は午後大阪です。今年最後の大阪かな。


2013年12月17日(火曜日)

 (22:25)初めて関空から上海に飛びましたが、所用時間は2時間45分。近い。新幹線の新大阪と東京の間の所要時間に10分足せば良い。中国には最近はほぼ毎年来ているので「中国という国」には久しぶりの感じはしないが、上海というと調べたら2004年が最後。そういう意味では久しぶり。

PM2.5が600の時の上海の空気  でも到着したのは、とってもとっても良い日でした。雨。珍しい二日連続の雨らしいのですが、その結果とも思えますが、午後6時過ぎの上海のPM2.5がわずか65になった。当地住まいの日本人は皆、スマホを見ながら「うっそー」とか言っている。だってそうでしょう、日本でもニュースになったがPM2.5が600とかいう最悪事態が数日前にあったのですから。

 で、何が違ったかというと景色。まず左側の縦長ですが、これはまさにその600の時に同僚が撮った写真。凄いでしょう。多分50階のオフィスから撮ったのですが、地上がかすんでいて、少し先はもう見えない。

 ところがどうでしょう。65という正常値(上海では希なようですが)になると、17日の夜9時過ぎの外灘(ワイタン)から見た雨のプートンは実に綺麗です。まずいカンパリソーダを飲みながら皆で、「この景色はいける」と論評していました。

 まだ到着して少ししかたっていないが、私が最後に来たときより上海は車が増えて、その車は皆奇麗になった。そして、運転も一時よりはおとなしくなった。中国人も皆歳を取ってきたから....。知りません。でもいろいろ気づくことがある。また書きますが、まずは同じ上海でも二つの顔があることを堪能下さい。


2013年12月18日(水曜日)

 (06:25)なんでカンパリソーダのような簡単な飲み物がちっとも美味しくならないのかな......と夕べは考えて居ました。食事を上海にいながら四川のお店で食べた後、外灘(ワイタン)に移動して両方(右にプートン)が見える洒落たお店に移った後の事です。

 このコーナーでは既にお伝えしてありますが、私は世界のどこに行っても「カンパリソーダ・チェック」というのをする。特に上海ではずっとやっている。文化大革命の時に一端中国のそれまでの文化・味覚は一端途絶えたと私は考えて居るので、その後どう回復しているのかをチェックしているのです。上海では特に。何せ中国を代表する、アジアで今一番勢いのある街ですから。

 最初は「それってなんですか」だった。80年代の半ばかな。そのものを知らなかったのです。その段階から「頼めば出てくる」ところまで来た。昨日は、「別々に」と言ったらそれも分かってもらえた。しかしカンパリはもうそれしかないのですが、ソーダ水がコップで出てきた。

 これがいやな感じの始まり。ゆっくりカンパリの中に落として飲んだらうまくない。あのぱりっとした感じがないのです。日本やその他の国だと、普通はソーダ水は小さめのボトルで来る。それが納得性を高める。「どこのやつだ」と思って。

 しかし昨日出てきたソーダ水は「どこの馬の骨だか分からなかった」。それが原因かな。そういう意味では上海のカクテルの味覚はまだまだのような気がする。一カ所で調べただけですが。

 昨日楽しかったのは、四川のお店(上海に居ながら)で見た「川劇」(せんげき)です。川劇は資料によると「京劇と似た様式で行われる演劇」であるが、「変臉(へんれん)と呼ばれる、瞬時に瞼譜(隈取)を変える技巧で有名」とありますが、本当に凄い。面相はこんな感じですが、その替え方が素早いのなんのって。何回もやるのですが、全く分からない。「中国では第1級国家秘密として守られている」と。本当かな。

 動画も撮りましたが、それは日本に帰ってからアップです。なにせここでは使えないので。写真は日本時間より1時間遅れの上海の朝。真正面にあるのはユニクロの店です。


2013年12月19日(木曜日)

 (04:25)QE3の規模縮小問題を討議する今回のFOMCに関しての筆者の意見は、「小幅な縮小にとどめながらも、着手だけはしておいた方が良い」というものでしたが、決まったのはまさにその考え方に基づく「月額850億ドルから750億ドルへの減額」というものでした。

 中味は今まで月額400億ドルだった公社(agency)発行住宅ローン担保証券の買い入れを月額350億ドルとし、今まで450億ドルだった財務省証券の買い入れ額を400億ドルに減らす、というもの。合計は月額750億ドルとなる。

 理由は、「the cumulative progress toward maximum employment and the improvement in the outlook for labor market conditions」、つまり最大限の雇用に向けての累積的な前進(最近の米労働市場の率、雇用数から見た改善を指す)と今後の労働市場環境の改善見通し」、もっと言えば「労働市場環境が良くなったし、それは今後も期待できる」という米経済への信頼感を挙げている。

 声明には、「The Committee sees the risks to the outlook for the economy and the labor market as having become more nearly balanced」という文章も見える。つまり「米経済見通しと労働市場に関わる諸リスクが、よりほぼ均衡したこと」。分かり易く言えば、「QE3を現状のまま続けることの米経済へのリスク(将来のインフレなど)と、労働市場の抱えるリスク(減額して率が再び上昇するなどの)が今までよりはより均衡点に接近したこと」。もっともっと言えば、「米経済のバランスは、さらに良くなったので」と読める。

 私がこの文章のこの部分を書いている時点でのニューヨーク株式市場などのマーケットの反応は「熱烈歓迎」です。ダウ工業株30種平均などは前日比200ドル近い上げとなっている。発表前は前日変わらずであって、発表直後には一時小幅マイナスだったものの、その後急騰した。その他の株価指標も強く、外国為替市場ではドル・円が103円67銭まで上昇して、その後もドルが強い。ただしこれはあくまで途中経過ですが、マーケットの反応には十分な理由がある

 それは私が「望ましい」と思った通り、QE3縮小後の金融政策運営、さらにはフォワード・ガイダンスが極めて思慮に富んだ、米経済の今後の行方とマーケットの反応に配慮したものだったからです。

 問題は、私が今週初めのレポートで書いたとおり「説明能力」でしたが、FOMCは「(月間100億ドル減楽した)その後」についても実に丁寧に書いている。バーナンキのFOMC後の記者会見を待たずともマーケットが妙な解釈をしないように配慮された声明だ。声明はこう述べる。

  1. 減額したが、まだ月間750億ドルという大規模な債券購入は続けて、その結果FRBが保有する債券の量は増え続けて、それは米金利にとっての下方圧力になるだろうし、元本支払いの再投資なども継続する(reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction.)

  2. 今の債券購入計画に関してはあらかじめ設定したスケジュールがあるわけではなく(asset purchases are not on a preset course 潜在的には再増額を含めてと言う意味だと思う)、今後さらに減額するとしても今後のFOMC会合の際に、一段と慎重に、雇用の更なる状況状況などの環境を見計らって行う(the Committee will likely reduce the pace of asset purchases in further measured steps at future meetings FOMC会合の場以外で突然減額するような乱暴なやり方はしない、という意味だと思う)

  3. ゼロ金利(FF金利で0.0〜0.25%での保持)の解除に関するフォワード・ガイダンスに関しては「失業率6.5%」という数字を依然として残すが、それは「最低限」という意味であり、失業率がそれ以上だと超緩和策(政策金利面の)を続けることが妥当だと思うし、それを下回っても例えばインフレ率が目標(2%)のさらに0.5%上にならないケースや、長期的インフレ期待が上放れない限りは続ける可能性がある

  4. ゼロ金利政策解除に当たっては、その他のインフーメーション、具体的にはadditional measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developmentsなど数多くの要因に配慮して決める(つまり労働市場の質的側面や期待インフレ率指標、それに株式市場の状況など金融市場情勢など全てを勘案して慎重に、という意味に読める)
 なにせ今回のFOMC声明には、「appropriate」という長ったらしい単語が私が検索をかけた範囲で5回も出てくる。「適切に、妥当に」ということを繰り返していると言うことは、「今後のQE3の縮小ペースもそうだが、その後かなり時間を置いて行われるゼロ金利政策の解除も慎重に、慎重に行う」と言っているわけだ。

 あーあ、こうして文章を書いている間にもニューヨークの株価は上げ続けて、今はダウが250ドル近く上昇。ドルは104円に接近。「FRBがそれだけ慎重に緩和の解除を進めるというなら、何も心配することはない。米経済は強くなっているのだから」という判断でしょう。

 今回のQE3減額に関しては、当然ながら反対者が出た。しかし一人だけだ。マーケットの6割方の人が「来年かな」と見ていたことは、流れを読んでいなかったということになる。反対者は、反対者としては新顔(当たり前だが)のEric S. Rosengrenで、彼の反対理由は「 with the unemployment rate still elevated and the inflation rate well below the target, changes in the purchase program are premature until incoming data more clearly indicate that economic growth is likely to be sustained above its potential rate.」というもの。

 まあそんなところでしょう。私ははこれから上海を早朝に発つために空港に向かわなければならないので(乱文乱筆 失礼)、バーナンキの会見内容は東京に着いてから読みますが、マーケットの反応から見ても「FRBのQE3小幅解除はまずは成功」と見て取れると思う。

 声明の全文は以下の通りですが、「appropriate」という長い単語が5回も出てくることもあって(笑)、今回のFOMC声明は非常に長い。政策変更を丁寧に説明したと言うことでしょうが、もしかしたら歴代のFOMC声明の中でも最も長い声明の一つに入ると思う。

Release Date: December 18, 2013

For immediate release

Information received since the Federal Open Market Committee met in October indicates that economic activity is expanding at a moderate pace. Labor market conditions have shown further improvement; the unemployment rate has declined but remains elevated. Household spending and business fixed investment advanced, while the recovery in the housing sector slowed somewhat in recent months. Fiscal policy is restraining economic growth, although the extent of restraint may be diminishing. Inflation has been running below the Committee's longer-run objective, but longer-term inflation expectations have remained stable.

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic growth will pick up from its recent pace and the unemployment rate will gradually decline toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate. The Committee sees the risks to the outlook for the economy and the labor market as having become more nearly balanced. The Committee recognizes that inflation persistently below its 2 percent objective could pose risks to economic performance, and it is monitoring inflation developments carefully for evidence that inflation will move back toward its objective over the medium term.

Taking into account the extent of federal fiscal retrenchment since the inception of its current asset purchase program, the Committee sees the improvement in economic activity and labor market conditions over that period as consistent with growing underlying strength in the broader economy. In light of the cumulative progress toward maximum employment and the improvement in the outlook for labor market conditions, the Committee decided to modestly reduce the pace of its asset purchases. Beginning in January, the Committee will add to its holdings of agency mortgage-backed securities at a pace of $35 billion per month rather than $40 billion per month, and will add to its holdings of longer-term Treasury securities at a pace of $40 billion per month rather than $45 billion per month. The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction. The Committee's sizable and still-increasing holdings of longer-term securities should maintain downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions more accommodative, which in turn should promote a stronger economic recovery and help to ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with the Committee's dual mandate.

The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments in coming months and will continue its purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor market has improved substantially in a context of price stability. If incoming information broadly supports the Committee's expectation of ongoing improvement in labor market conditions and inflation moving back toward its longer-run objective, the Committee will likely reduce the pace of asset purchases in further measured steps at future meetings. However, asset purchases are not on a preset course, and the Committee's decisions about their pace will remain contingent on the Committee's outlook for the labor market and inflation as well as its assessment of the likely efficacy and costs of such purchases.

To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase program ends and the economic recovery strengthens. The Committee also reaffirmed its expectation that the current exceptionally low target range for the federal funds rate of 0 to 1/4 percent will be appropriate at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent, inflation between one and two years ahead is projected to be no more than a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal, and longer-term inflation expectations continue to be well anchored. In determining how long to maintain a highly accommodative stance of monetary policy, the Committee will also consider other information, including additional measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments. The Committee now anticipates, based on its assessment of these factors, that it likely will be appropriate to maintain the current target range for the federal funds rate well past the time that the unemployment rate declines below 6-1/2 percent, especially if projected inflation continues to run below the Committee's 2 percent longer-run goal. When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Charles L. Evans; Esther L. George; Jerome H. Powell; Jeremy C. Stein; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen. Voting against the action was Eric S. Rosengren, who believes that, with the unemployment rate still elevated and the inflation rate well below the target, changes in the purchase program are premature until incoming data more clearly indicate that economic growth is likely to be sustained above its potential rate.


2013年12月19日(木曜日)

 (14:25)今回は滞在中に気付いたことで「これは上海のデメリット」という点を集中的に書きます。

 まず笑えたこと。上海に住んでいる連中は全員、スマホに「今のPM2.5のレベル」が分かるアプリを入れているのです。そして暇さえあればそれを取り出して、「今は90ですよ」「東京では酷いんでしょうが、ここではましな方です」とか言っている。東京では50に行かないことが多いんじゃないでしょうか。

 一番酷かったのは12月初旬の600越えだったらしい。その時は先日載せたような写真のようになり、ビルの中にまで異臭(焦げたような)が漂ったそうな。私もそれは去年の北京で経験しました。しかしその時はまだPM2.5なんてあまり話題になっていなかった。しかし空港ビルの中でも「臭いな」と思った。

 私が今回上海にいた3日間は超ラッキーなことに2日は雨、1日は強風で上海の人たちには最高の期間だったらしい。「快適ですわ」とスマホで数字を確かめながら、皆嬉しそうだった。しかしそれでもオフィスでも街でもデザインマスクをしている女性は何人かいた。「もういや」という顔をしながら。

 そりゃそうだ。だって見えないもの、そして体には決して良くないものの中で息を吸って生きていくわけだから、「なんとか改善できないか」と思うのは当然です。面白い話を聞きました。オフィス全体でダイキンの空気清浄機能付きマシン(PM2.5対策機能付き)を斡旋販売したところ、ほどんどの社員が買った、というのです。現地に住んでいる人は皆心配なんですよ。

 講演会で質問した人からも聞いたし、先日どこかのテレビも扱っていましたが、中国の都市部の富裕層の中には、雲南などに別荘を買ってそこに移り住む人も増えているとか。そりゃそうだ。中国の主要都市で、今後雨が降り続き、風が強いままに時間が過ぎるということは全く無い。PM2.5はいつでも都市を襲う勢いだ。

 日本の駐在員の方々の赴任にも影響が出ている、と聞きました。当然ながら、奥さんや子供は中国の大都市行きを嫌がる。亭主とともに中国に行くのを。実際にそういう例が出てきているらしい。

 欧米の企業の中には、従業員そのものをPM2.5汚染都市の北京や上海から移すところも出てきているという。無論一番怒っているのは常にそこに居なければならない中国の普通の人たちで、「どうにかせい。政府は何をしている」と思っているのでしょう。その怒りがどこに行くのか。

 PM2.5と並んで面白かったのは(住んでいる人には深刻でしょうが)、「成長ホルモン剤」の話です。そこら中の食材にこれが入っているらしい。成長するものにはほとんど。植物でも動物でも。

 その結果何が起きるかというと、それを間接的に口にする人間も成長が促進されるらしい。従業員の中で上海でしばらく仕事をして東京に帰ったときに検診したら、「以前は180センチだった背丈が、1.6センチ伸びていた」と証言する人が出てきた。

 それよりも恐ろしい話は、日本人駐在員のお子さんの中で「小学校一年生で生理が始まった子が出た」というものだった。要因は複雑なんでしょうが、上海の人は心配していました。まあ私は気にせず何でも食べましたよ。しかし日本では必ず黒いスイカの種が、上海の夕食の後に出たそれの種は真っ白だった。「これはおかしい」と思ったのは確かです。

 まあでも人によるんでしょうね。体内の成長ホルモンが刺激される人と、刺激されない人と。成長剤によって。だって昔から知っているメンバーで「こいつ背が伸びたな....」というのは一人もいなかった。

 次はネット。ようこんな面倒なことをするな....と滞在中ずっと思っていました。中国がしつこくやっているSNSやユーチューブのブロックです。

 PCでは最初から最後まで完全に無理。フェースブックやユーチュブのサイトにそもそもアクセスできない。スマホでは上海到着から6時間くらいはサイトにアクセスできたし写真もアップできた。しかしその後は無理になった。「どういう仕掛けなんだ」と。

 確か去年か一昨年まではスマホでは出来ていたような。中国でもスマホを使ったSNSの利用が増える中で、海外から持ち込まれたモバイル機器’(スマホ、タブレットなど)に関しても監視の目を広めたということでしょう。

 フェエースブックとユーチューブは日常頻繁に使うので、それが使えないのは不便この上ない。景色をアップしたり、ちょっとしたコメントを載せたり、HPの文章を載せるだけなのにブロックしている。ブロックする方も面倒なことだろうに。

 しかし5Sになって中国でもローミングをスマホにかけて、そこからPCをテザリングが幅広く出来るようになったことは、非常に便利だった。WIFIを探さなくても最低限のメールの取得などはテザリングで処理できたし、文章ファイル送付などはどこからでもPCにiPhone 5Sをつないで出来るので良い。

 しかし上海のような大都市でもLTEが日本人の我々の機器が普通に使えるようには普及していない(WiMAXの方式らしい)ので、3Gを使い続けたのですが、これは不便でしたね。おまけに全体的に上海全域でWIFIも遅い。講演で使っているに、サイトが出てこなくて冷や汗をかきました。

ycaster 2013/12/20)



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