<苦悩する韓国と盧武鉉政権=Cyberchat>

 2005年。最初の海外は8月下旬の韓国でした。考えてみれば2004年にさかんに海外に出たのですが、前半は両親の健康が優れなかったりして出られなかった。8月27、28、29日に行った韓国が最初の海外出張となったわけです。

 今回の韓国は、下村さん、平田さんと一緒でした。28日金曜日の昼前から日曜日の午前中にかけて。短い滞在でしたが、目的を決めていったので、しっかり収穫はありました。一つは韓国の若い人と話すこと、もう一つは韓国式の結婚式に出ること。前回韓国に行ったのは去年の連休時ですから、それからみて1年半ぶり。

 加えて、再び政治危機を迎えている盧武鉉政権の現状や、活況を迎えている韓国の株式市場、それに高値追いを始めたウォンなどに関しても知りたかった。まず、私が毎週作成しているレポートを掲載します。ポイントは以下の通りです。

  1. 再び支持率が20%台(絶好調時は70%台)に落ち込んだ盧武鉉政権の前途は多難である。「すべての大統領権限を放棄しても良い」と野党であるハンナラ党との大連立に賭けているが、ハンナラには相手にされず、かつて大統領を支持した層(若者が中心であと過去の韓国の政治に飽きた人々)のネットでの意見も大統領に厳しいものになっている

  2. 盧武鉉政権が今後直面する最初の試金石は、不動産政策だ。「不動産投機は必要悪としても許されない」という姿勢で今月31日に盧武鉉政権は総合的、かつ厳しい不動産投機抑制策を発表する予定だが、不動産税制の改訂が中心のようで、今から韓国のマスコミには批判的な意見が多い

  3. 韓国社会の富めるものと富めないものの二極分化は激しく進んでおり、割を食った盧武鉉の支持母体だった若者、ネット中心の活動家は大統領への反感を強め、また過去の政権の腐敗に嫌気して政権発足時には盧武鉉支持に回った人々の支持も離れつつある。しかし、韓国の人々が次に政権をゆだねる指導者を見いだしたわけではない

  4. 今の韓国経済や社会が直面し、その対策に苦慮しているのは同国として過去に例のない金融緩和状態の中で進む不動産やマンション価格の高騰である。これを押さえる必要性が強まっているが、社会的安定維持の為に不動産投機を沈静化させる目的で金利を引き上げれば、それはやっと苦境から立ち直りつつある韓国経済を直撃するという構図である

  5. 韓国経済が抱える問題は根深い。一時の厳しい状態からは回復したと言え、労使環境は日本より遙かに対立的であり、カード破綻者の数は依然として多い。ソウルの街を歩けば活気があるが、世界最低の出生率1.16は、韓国社会が抱える問題が端的に噴出しているとも言える

  6. しかしこうした中でも、韓国の株式市場は過剰流動性の中で上値追いを当面続けよう。日本と同じ出遅れ感のある韓国株式市場には外資の流入も予想される。また、その一方で国民の対外投資が活発でない韓国では、通貨は上昇する可能性がある

 韓国(といってもソウルとその周辺が主だが)の不動産価格の高騰ぶりは凄まじい。主に「江南」地区(「ハンナム」と読むソウルの高級住宅街)のマンション価格は、今年に入って半年で20%以上の値上がりになっていると言われる。私も見て回ったが、「こんなマンションの一室が」という物件が、80uで20億ウォン(日本円で約2億円)と聞いて飛び上がった。なにせ、建物はそれほど立派に見えないし、何よりも建物にはナンバリングがしてある。つまり、日本の団地の雰囲気なのだ。それが今ソウルで一番高いマンションになっているという。

 良い商店街(歩いて直ぐのところにブランドショップ街がある)があるとか、この地区の学校がソウルの北に比べて進学に良いとかそういう理由かららしいが、私は明らかに価格は行き過ぎていると思った。「江南」がどういう地区かについては、「伊藤さん、この地区からはウリ党の国会議員はほぼ誰も出ていないのではないかと思います」と友人であり、この地区を案内してくれた姜信榮君の言葉が端的だ。つまり、圧倒的なハンナラ党支持者、つまり社会的には恵まれた階級の人々が住む街。この地区の学校からは、最高学府であるソウル大学の入学者が多数出るのだという。

 それ故に、子どもに高い教育を与えようという意向のあるソウルの親は住所を「江南」に移す。それでまた不動産が高騰する。高騰するから、値上がり期待の入居者、第二、第三の投資先としての購入者もある、というリンクらしい。

 その結果何が生じているかと言えば、韓国社会の富の二極化です。例えば、ソウルでは過去30年間の不敗神話(決してその地区の不動産価格は下がらないと言う神話)がある「江南」に家(またはマンション)を持っているかどうかで、資産状況は全く違ってきている。ソウルには南を中心に、「江南」のような地区はいくつかあるらしい。韓国国民の生活水準は全体としては上がっているが、その中でも持てるものと持たないものの格差は開いており、それは社会問題になっているのである。

 韓国では一方で、今年6月時点でカード破綻者(30万ウォン=3万円ちょい=以上のカード支払い、銀行借り入れ返済や各種金融返済が3ヶ月以上滞っている人間)の数が330万人もいるのだ。これは、昨年末に比べて31万5000人の減少だが、子供・老人まで入れて4600万人の韓国では多すぎる数字である。格差社会の進行具合は日本より遙かに激しいと見た。

 この結果、非常に面白い政治現象が起きている。盧武鉉政権の誕生を支持した層(若者、ネチズン、それに過去の政治に不満があった層)が不動産価格の高騰の恩恵を受けられずに生活が苦しくなって大統領に反感を強める一方で、本来ハンナラ党支持で比較的豊かな層が、逆に盧武鉉政権の無策による不動産価格の高騰で資産の規模が膨らみ、「結果的には彼の方が良かった」(江南の住民の言葉)と言うような状況が生まれているのである。しかし、本来ハンナラ党支持のこうした人々は心から盧武鉉が好きなわけではない。結果だけが良いだけで、こうした人々は心では盧武鉉に相変わらず反感を持っている。

 その結果は、盧武鉉支持層のほぼ完全喪失という事態の発生である。世論調査での支持率急低下するのも当然の結果というわけだ。今や韓国には盧武鉉を積極的に支持する層は極めて薄くなっていると言える。

《 Ro doesn't have a effective economic policy 》
 彼の支持率の急速な低下は、「有効な経済政策の欠如」の一言に尽きる。彼の支持率が高かったのは、大統領選挙の直前と、竹島(韓国の独島)を巡って日本と激しく対峙した時だけである。その他の時期は、支持率は一貫して下がってきている。要するに盧武鉉は「政策なき大統領だ」との見方が、韓国では広く共有される認識になりつつある。今回のソウル訪問でもかなりの時間を私との行動に当ててくれた姜信榮君は、「今では、小学生も盧武鉉を馬鹿にしていますよ....」と酷いことを言っていた。

 盧武鉉は圧倒的な若者の支持で大統領になり、そして弾劾騒動も同情票を集めて乗り切った。しかし、その後の政策は右往左往。その間に、彼を支持した若者達の生活環境は悪くなり、彼を敵視した本来ハンナラ党の支持者(裕福で不動産などを持つ層)の生活環境は上がった。だから、同じく私との意見交換会に同席してくれた裕福な医者を父親に持ち、江南に住む信榮君の友人は、「結果的に盧武鉉が好きになった。我が家の不動産の価値を上げてくれたからだ」と皮肉っぽく言っていた。

 支持母体である若者や韓国政治に新しい風を望んだ向きの期待を裏切り、彼を警戒した豊かな層の生活を一層楽にした、という矛盾。盧武鉉への支持者がいなくなったのも理解できる。でもその人気のない大統領でも、あと任期は2年半もある。どうするのだろう、と私などは思うが、信榮君の友人などは「どうでもよい、誰でも良い」と冷たかった。

 こうした中でも注目されていたのは、今週の8月31日に韓国政府が発表する不動産投機抑制策である。盧武鉉は、「不動産投機は必要悪としても許されない」と力を入れている。国民注視の中で、韓国政府が2ヶ月間も検討を重ねてきたものだ。その内容は、

  1. 不動産市場での透明性引き上げ
  2. 土地と住宅に対する投機需要の抑制
  3. 国が管理する建設会社による住宅供給の増大
 だが、具体的には「2」の一環として家を二軒、三軒と持つ複数所有者に対して厳しい税金を課し、そして「3」の一環として「2」であがった税収で低所得者用の住宅を造る、という案である。

 課税強化に関しては、韓国政府と与党が25日に、家を二軒持つ人に対するキャピタルゲイン課税(値上がりに対する税)を現行の36%から50%に引き上げることで合意したと伝えられた。現在家を3軒持つ人に対する同税は60%となっている。新措置は1〜2年の猶予期間を経て実施され、その間に2軒の家を持つ人に対しては、持っている二軒のうち一軒を売ることが推奨される。同様に、アパートメントと未使用土地を保有している人に対する不動産所有税を現行の0.15%から2019年に1%に引き上げるという案も検討されているようだ。それによって、不動産市場の沈静化を図るという狙い。

 重要なことは、その税収を持って低所得者用の住宅を造るという考え方。これは言ってみれば、不動産に対する税制によって、「国民の間の所得再配分」を狙っているとも言える。

 これはうまくワークするだろうか。韓国の英字紙「The Korean Herald」は26日付けの社説で、「そもそも間違った考え方をしている。不動産投機は、税制では解除できない。なぜなら、そもそも不動産投機は住宅と不動産の不足から事態が生じているのだし、加えて金融市場には吸収できない豊富な流動性が存在しているからだ」と述べている。いわゆる過剰流動性問題だ。

 筆者はさらに、科挙の時代からの教育偏重の風習、つまり高いお金を支払っても大学進学率の良い地域に引っ越して、良い学校に子供を入れようと言う親の強い希望なども、江南地区などでの不動産の高騰に繋がっていると思う。韓国社会の社会風潮そのものに問題の根っこがある面もあるのだ。

 「過剰流動性」は、去年二回行われた韓国中銀による利下げによって生じている部分が大きい。去年韓国は、経済的には極めて厳しい一年を過ごした。日本を含め先進各国が回復基調を強める中で、成長率は低迷した。アジア経済危機の際に、景気浮揚のために本来クレジットカードなど持つべきでない人にまでカードを持たし、消費を奨励した。それで一時的に韓国経済は浮揚したのだが、これは直ぐにカード破綻者の急増という形で暗転し、特に去年などは「消費不況」になった。去年の韓国は、明らかに消費が弱かった。

 そこで当局は貸出金利を引き下げ、中央銀行の総裁は「2005年に入っても利下げを続けるかもしれない」とまで言っていたのである。今年に入って、韓国経済はやや顔色を良くしている。それな何よりも日本やその他の国の経済が良くなったおかげだが、利下げも効いた。何せ過去においては二桁の金利に慣れていた韓国の人々が、今まで経験もしたことのないような金利の低い水準に直面し、こうした中で銀行は「個人向け商売」、例えば住宅ローンに注力したから、お金が世の中に余った。過剰流動性である。

 今韓国の預金金利は一年物で3%だという。日本人は「高い」と思うかもしれないが、韓国の人にとっては恐ろしく低いのだという。なにせ韓国の金利はずっと高い水準を続けてきた。途上国として資本不足の状態が続いたからだ。その結果、この個人を潤沢に満たした金融緩和の結果が、株式市場や不動産市場への資金の流入となって現れた。ということは、金融を引き締めれば良いのだが、それをすると立ち上がりつつある景気に打撃を与える、という矛盾の中に韓国経済はある。盧武鉉としても、政策選択余地は限られているのである。

 不動産税制をいじって不動産取引を締め付けると他の問題も生ずる。結果として、不動産の活用、ビルの建設などが減少するおそれがあるからだ。六本木などで大規模開発を見慣れている日本人から見ると、ソウルの街は比較的建設ラッシュが見られない。これは規制の影響かどうかは直ちには分からなかった。しかし、韓国経済の20%は建設関連だという。引き締めで、この業界が不況になることの影響は大きい。

《 historically low interest rates in Korea 》

 筆者は自らの著書「日本力」(講談社)でも取り上げたが、韓国経済はいびつな形をしている。サムソン、現代など非常に強い企業はある。しかし、これらの企業は財務内容がしっかりしていて、銀行からお金を借りるような存在ではない。銀行はこうした優良企業からは特に必要とされていない。

 政府の不動産規制の強化を見て、韓国の銀行業界は今まで商売の中心だった個人向けローン事業から、企業向け貸し出しに重点を移し始めたという。25日付けの韓国の英字紙に出ている。中央銀行が銀行の個人向け低金利ローンに対する監視を高めており、銀行は貸し出し慣行を改めざるを得なくなっているらしい。しかし、これはなかなか難しい作業だろう。繰り返すが、韓国の有力企業はお金を必要としていない。自ら調達する能力があるからだ。一方で、資金を大量に必要とするような企業は、韓国ではあまり伸びてきていない。

 韓国経済が抱える問題は他にもある。2002年ほどではない。しかし、韓国の労使関係は依然として不安定なようだ。私が韓国に入った25日に、現代自動車での部分スト、時限ストが行われた。限られた職場ではあるが、4時間の時限ストを労働組合が打ったのである。賃上げと労働環境の改善を狙ってのストだ。26日には6時間に延長しての時限ストが予定されていた。これがなんと、11年連続での現代自動車でのストだという。現代自動車の会長が新聞とのインタビューでこのストに対して、「損害が大きいストである」と述べていたのだが、筆者が注目したのは「この世界的に有名になりつつある韓国の現代自動車で、11年も連続してストが行われた」ことだ。

 現代は、言ってみれば韓国のトヨタだ。日本最大のこの自動車メーカーで、ストが打たれたのは一体最後は何時だったのか。日本に帰ったら調べてみたいと思うが、韓国の労使関係は、依然として日本よりかなり対立的だということだと思う。

 それにしても、盧武鉉大統領の行っていることはなかなか理解できない。大統領権限の放棄というアイデアは、ハンナラ党との協力関係がなければ自ら統治することも難しくなったとの認識からだろうか。友人の姜さんも「何を考えているのか分からない」と当惑気味だった。盧武鉉の考え方は、韓国の人にも理解されていない。盧武鉉大統領は、小泉さんが郵政解散を断行したことに関して、「韓国の大統領は、議会を解散する権限もない」と嘆いたそうだが、政治も経済も今の韓国は迷走気味である。

 もっとも、筆者はそれでも韓国の株価が上昇基調にあるのは注目に値すると考えている。それは一方で、過剰流動性がもたらした一つのあだ花かもしれない。しかし、韓国の国民にしてみれば過去に経験したことのないような低金利環境の中で、株式投資に対する関心は非常に高まっているようである。そもそも大宇証券の東京支店長として東京にも長くいた姜さんは今投資教育事業を手広くやっているが、「忙しくて仕方がない」状態だという。ということは、韓国の株に関しては強気を維持できる気がする。なにせ、日本の株と同様に出遅れ感がある。

 ウォン高も続く可能性がある。ウォンも韓国経済浮揚のために、長く低い水準に据え置かれていた兆候が強い。中国の元が切り上がる中では、韓国の通貨にも上昇圧力がかかって自然であると考える。

 ソウルに行った一つの目的は、若い人たちと話をすることでした。信榮君に頼んでいたのですが、そこで出てきたのは、「(北との)統一は望まない」という南の人たちの素直な気持ちでした。私の要請に応じて姜さんの息子さんが集めてくれたのは、信榮君の彼女(釜山出身)と、既に登場した信榮君の友人で医者を父親に持ち、江南地区に90年代の末から住んでいるという若者。親は有名な医者だという。つまり、裕福な家庭の子。

 北朝鮮に関して話が出て面白かったのは、去年はそこまでは聞けなかったのですが、今年は初めて「(韓国が北朝鮮と)仲良くするのは良いが、統一には反対。南の犠牲が大きくなりすぎるから」と全員がはっきり反対を言ったこと。彼等は何よりも、「早く北の生活レベルが上がって欲しい。そうでなければ統一した時に大変....」と思っている。その通りだろう。あの東欧の優等生(東ドイツはそう呼ばれていた。北朝鮮を優等生と呼ぶ人はいない)を抱え込んだ西ドイツでさえ、「統合のコスト」は甚大だった。

 この点に関して言えば、6ヶ国協議の韓国代表が「北は平和利用の原子力能力を持つ権利がある...」というようなことを言っているのは、そういう背景があるのかもしれない。つまり、建前論は別にして北にもエネルギー源をもってもらって、とにかく少しでも豊かになっていて欲しい、ということである。とにかく、「(統一は)今は嫌」というのが韓国の大勢的意見になりつつあるように思う。

 そういえば、着いたその日に車の中で「あと10年すれば(北を統合する)韓国サイドの準備は整いますか」と聞いたら、姜さんからは「うーん」という、それ以上の言葉のない答えだった。その後はあまり言いたくないようなのです。しかし、その答え方が韓国の人たちの正直な気持ちであると私は思いました。

《 just 16 minites 》

 次に、まとまったレポートではなく、私が韓国滞在中に書いた文章をお読み下さい。上の文章とダブるところもありますが、実況中継風で面白いと思う。


2005年08月28日(日曜日)

 (00:11)宗教によっても違うそうです。中にはたっぷり1時間以上かかる結婚式もあるらしい。しかし、広大なキャンパスを誇るソウル大学で姜さんが仲人をした結婚式は、開始から終わるまで16分でした。そのうち、姜さんが話したのが8分。素晴らしい簡潔さ。それでいて、中身もあった。「無宗教」で行われた結婚式の手順は以下の通りです。

  1. 白と緑に彩られた左右対称の祭壇と、それに向いたカバーの付いた椅子100個以上がある会場が用意されている。真ん中に明らかにバージンロードとなる道
  2. 午前11時過ぎに、司会の人の挨拶(何を言っているのか分かりません)で新郎新婦のお母さんと思われる二人が入ってきて、まだ点火されていない二本の蝋燭に点火(その他は全部事前に点火されていた)、その後はその他多数の椅子とは色の違ったペアの椅子に着席
  3. 新郎の入場と祭壇への前進、そこでの花嫁の入場待ち。姜さんはその一段上の祭壇中央にいて、全体の式を見守る。音楽を伴って、バージンロードを通っての、父親に付き添われての花嫁の入場
  4. 新郎新婦の参列者、両方の両親に対する会釈、終わっての姜さんに向かってのやや深い礼、そして姜さんの約8分間の力の入った挨拶
  5. 事前に姜さんに何を言うのか聞いたら、1.二人は30年近く全く違う環境で育ってきたが、そのことのしっかりした認識 2.人間が持つ欠点とメリットに関して、なるべく欠点は出さないように、一方でメリットを伸ばすように.....と言った人生訓だそうです
  6. それが終わると、音楽演奏。ナマです。その間ずっと新郎新婦は座りもせず、あっちを向いたり、こっちを向いたりの向きの変更と立ち位置の変更だけ
  7. 音楽が終わると新郎新婦による両方の両親に対する礼。言葉があるわけではない。そしてそれが終わると、二人の退場。それで正式な式は終わり.....あとは再び新郎新婦が入ってきての写真撮影
 とそれだけです。どうも式の後に日本式な披露宴があった形跡もないし(日本の二次会的なものはあったかもしれない)、我々3人は式に出席させてもらったが、別にお祝いを持って行ったわけでもない。実に簡素です。下村さんが、「日本も結婚式のスタイルで、韓流を流行らせよう」と言ったのには賛成できた。

 ついぞ漢字を見ることがなくなった韓国ですが、式では「結婚」という漢字、それに「華婚」という日本では見られない漢字をいくつか目にしました。姜さんは、「韓国でも漢字を再び使おうという風潮はある」と。

 日本では、結婚式に呼ばれてもありがた迷惑なことが多い。お祝いしてあげたい気持ちはあるが、貴重な土曜日をほぼ一日つぶすのは勘弁してよと思う。その点、私が韓国で出席の機会を与えられた結婚式は、実に簡潔で良かった。
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 その後は、私はあとの日本人二人と姜さんと別れて、式場に迎えに来てくれていた姜さんの息子さんである信榮(シンヨン)君と、韓国の不動産高騰の典型的な地区としての江南に。地下鉄を利用して。ソウルは今南に伸びているのですが、その南でも一番人気のある地区です。

 彼の話には驚きました。「この辺の、昔から有るマンションでも、80u程度で今20億ウォン(約2億円)しているんです」と彼。目と耳を疑いました。だって、それほど立派な建物には見えないし、何せ建物にはナンバリングがしてある。つまり、日本の団地の雰囲気なのです。それが今ソウルで一番高いマンションになっているという。良い商店街があるとか、この地区の学校が良いとかそういう理由かららしいが、私は明らかに行き過ぎだと思ったし、彼も「そうですよね」と言う。

 「江南」がどういう地区かというと、「伊藤さん、この地区からはウリ党の国会議員はほぼ誰も出ていないのではないかと思います」と信榮君。つまり、圧倒的なハンナラ党支持者、つまり社会的には恵まれた階級の人々が住む街。この地区の学校からは、最高学府であるソウル大学の入学者が多数出るのだそうです。

 それ故に、子どもに高い教育を与えようという意志のあるソウルの親は住所を移す。それでまた不動産が高騰する。高騰するから、値上がり期待の入居者もある、というリンクらしい。それにしても、私は買う気がしなかった。彼とは、オランダのチューリップなど過去のバブルの話をしながらこの街を歩きました。盧武鉉が任期後半を「不動産投機退治」を優先政策の一つにしているのは分かる。

 その後は、私の希望で高級レストラン街でもあるこの街のイタリアン・レストランに。無論、店は彼と彼の友人が選んだ。集まってくれたのは、信榮君の彼女(釜山出身)と、信榮君の友人で有名な医者を父親に持ち、この地区に90年代の末から住んでいるという若者。なぜイタリアンを選んだかというと、ソウルの横飯のレベルをチェックしたかったからです。良かったですよ。パンがいまいちだったが、あとはok。

 いろいろ面白い話が出たな。まず盧武鉉。支持率が下がっているのは昨日述べましたが、信榮君が「今では、小学生も盧武鉉を馬鹿にしていますよ....」と酷いことを言う。「なぜ」と私が言ったら、結局「有効な経済政策を打てないから」という結論のようです。圧倒的な若者の支持で彼は大統領になり、そして弾劾裁判も乗り切った。しかし、その後の政策は右往左往。その間に、彼を支持した若者達の生活環境は悪くなり、彼を敵視した本来ハンナラ党の支持者(裕福で不動産などを持つ層)の生活環境は上がった。だから、裕福な医者を父親に持ち、江南に住む信榮君の友人は、「結果的に盧武鉉が好きになった。我が家の不動産の価値を上げてくれたからだ」と皮肉的に言う始末。

 支持母体である若者や韓国政治に新しい風を期待した向きの期待を裏切り、彼を警戒した豊かな層の生活を一層楽にした、という矛盾。それでは、支持者がいなくなって支持率が20%に下がるのは理解できる。でもその人気のない大統領でも、あと任期は2年半もある。どうするのだろう、と私などは思うが、信榮君の友人などは「どうでもよい、誰でも良い」と冷たい。

 信榮君の彼女は美人でしたね。大学の時に知り合ったと言っていた。ずっとインターネットのオークションサイトを運営しているような会社に勤めていたが、今はちょっとアルバイトをしながら生活しているという。信榮君がさかんに「ウィンドウ・ショッピングが好きな、普通の女の子」と言う。まあ、話していても素直な感じ。彼等に「次ぎの大統領は ?」と聞いたら、昨日出たハンナラ党首の女性や高建という人に加えて、ソウル市長と今の盧武鉉政権の南北統一相という名前が出てきた。ソウル市長は知らんな。

 北朝鮮に関してもいろいろ話しました。去年は聞けなかったのですが、今年は初めて「仲良くするのは良いが、統一には反対。南の犠牲が大きくなりすぎるから」とはっきり反対を言う人が多かった。姜さんには昨日「あと10年すれば韓国サイドの準備は整いますか」と聞いたら、「うーん」という答えだったので、それらを考え合わせると韓国の人たちの気持ちが分かるような気がした。

 どうも話していると、「早く北の生活レベルが上がって欲しい。そうでなければ統一した時に大変....」と韓国の人々が思っている風情が伺える。6ヶ国協議の韓国の代表が「北は平和利用の原子力能力を持つ権利がある...」というようなことを言っているのは、そういう背景があるのかもしれない。とにかく、「(統一は)今は嫌」というのが韓国の大勢的意見になりつつあるように思う。

 それ以外にもいろいろ話したな。2時間以上。ちょっと歩くとブランド・ショップがいっぱいある地区ですが、まだまだ青山や表参道の華やかさはない。土曜日だというのに、人通りは少なかった。人が出ていたと言えば、ロッテ・デパートでした。これは凄かった。残念なのは、私が好きなステーショナリーがロッテにはなかったことです。

 彼等には「東京に来るときは連絡して....」と言って、携帯電話の電話番号を置いて別れました。信榮君は彼女と結婚したら、「日本に行きたい....」と。まあ、お父さんに連れられて育ったところですから。また私がまた韓国に行くのが早いのか、彼等が日本に来るのが早いのか。うーん分かりません。姜さんは希望として、「来年くらいには結婚して欲しい....」と言っていましたが。どうなることやら......


2005年08月27日(土曜日)

 (08:11)現地の新聞はいつでも最高の情報源です。私はハングルが読めないので、The Korea Timesや、The Korea Heraldなどを頼りに、今の韓国の動きをかいま見て、「これは面白い」と思われるニュースを拾うと次の通りです。

  1. 韓国政府と与党は25日、家を二軒持つ人に対するキャピタルゲイン課税(値上がりに対する税)を現行の36%から50%に引き上げることで合意した。現在家を3軒持つ人に対する同税は60%となっている。1〜2年の猶予期間を経て実施され、その間に2軒の家を持つ人に対しては、持っている二軒のうち一軒を売ることが推奨される。同様に、アパートメントと未使用土地を保有している人に対する不動産所有税を現行の0.15%から2019年に1%に引き上げる

  2. 韓国の銀行は、政府が銀行による個人向けローンを不動産投機抑制の観点から規制に動いていることから、企業向けローンに重点を移し始めた。中央銀行は、低金利ローンに対する監視を高めており、銀行は貸し出し慣行を改めざるを得なくなっている

  3. 韓国のカード破綻者(30万ウォン=3万円ちょい=以上のカード支払い、銀行借り入れ返済や各種金融返済が3ヶ月以上返済が滞っている人間)の数が、今年6月末で330万人と、昨年末に比べて31万5000人減少した。これは各種政府支援制度のおかげだが、しかしこの数は通常時においてみられるカード破綻者の数(280万〜300万)をかなり上回っている

  4. ソウルの東kuriの8才の少年 Song Yoo gun 君が、高校入学試験を受かったわずか3ヶ月後に高校卒業資格を教育・人間資源省から付与され、大学入学をトライできることになった。受かれば当然、韓国で一番若い大学生となる。Song君は、「嬉しい。受かったら、一生懸命勉強する。」と新聞のインタビューにはにかみながら答えた。しかし彼の父親は、「ちょっと早すぎる」と当惑している

  5. 現代自動車の組織労働者が25日に4時間の時限ストを行った。賃上と労働環境の改善を求めたもので、26日には6時間の時限ストを計画している。この結果、現代自動車でストが行われるのは、11年連続となった

  6. オンラインゲーム中毒(addiction)が、若い男性に犠牲者を作り出している

  7. 韓国出身の3選手がMLBで同じ日に大活躍。「Korean Day at MLB」とも言える日だった

  8. 盧武鉉大統領は任期半ばに当たりKBSでテレビ演説、今までより一層の政治的賭けに出ることを明らかにした。「任期後半の最優先課題の一つは、不動産投機を根絶することである」と述べ、これに関連して「野党のハンナラ党が大連合政府を作ることに同意するなら、すべての大統領権限を手放す(relinquish)用意がある。野党がもっと権限を寄こせというなら、それも考える。ここには政治的陰謀はない」と述べた。しかしハンナラ党は、「この大連立構想は、彼の政策の失敗に対する批判を逃れようとする政治的策謀以外の何ものでもない」とこれを拒否

  9. サムソン、携帯電話の分野でノキア、モトローラにシェアを失いつつある

  10. National Assembly(韓国の国会だと思うのですが)が、デジタル化された。ピンクの風呂敷に重いファイルを抱えて議員が入ってくる姿は、もはや昔のものになるだろう。議員の議席の上には、thin client(ハードディスクのない端末)が置かれ、机の下にキーボードは配置されて、議員達はこのコンピューターのデスクトップで必要な資料を見ることが出来る
 ははは。疲れました。しかし、こうしたたった一日の新聞記事であっても丹念に地域種を拾うと、その国が抱える問題がなかり見えてくる。六カ国協議が9月に再開されるとか、世界のどの新聞にも載っている記事はどうでもいいのです。せっかく韓国に来ているのだから、韓国のネタが面白い。

 こうした記事を金曜日に会って車の中で話をした姜さんの話と合わせると面白い。姜さんは車や喫茶店で、以下のような話をしていた

  1. 韓国の社会は二極社会になりつつある。不動産がもの凄く上がったので、持っている人と、持たない人の差が大きくなった

  2. 韓国の1年物の預金金利は、現在3%前後になっている。二桁が当たり前だった韓国の金利が急速に下がってきている。この預金金利の下落は、「預金者の預金引き出し」→「株式への流入と一部不動産投資(投機)の増大」が起きている

  3. 自分の娘の子どもに対するお金のかけ方を見ても、韓国で子どもを育てるのはお金がかかる。(韓国の出生率は1.16と、日本の1.288を大きく下回る世界でも最低になった)
 世界でも伸び盛りの現代自動車で、部分スト、時限ストとは言え、11年も連続してストが打たれているとは驚きです。日本の自動車メーカーでストが打たれたのは一体最後は何時だったのでしょうか。日本に帰ったら調べてみたいと思います。韓国の労使関係は、依然として日本よりかなり対立的だということだと思います。

 韓国のデジタル化は、明らかに公的な部門で日本より進んでいる。一方で、金融などの世界では、「不動産投機」が問題になるなど、20年ほど遅れているようにも思える。8才の少年の話は面白い。一説には、孫君(たぶんこうだと思う)は学校に行かないで、父親が教えているとも言われているが、韓国民の教育にかける思いは強く、それが出生率の低下に繋がっているのだろう。姜さんの娘の話は面白かった。

 それにしても、盧武鉉大統領の行っていることはなかなか理解できない。姜さんも「何を考えているのか分からない」と当惑気味でした。彼の人気が高かったのは、就任前と、竹島を巡る対日強硬姿勢を取ったときだけな気がする。姜さんに、「盧武鉉の次ぎに大統領になりそうなのは」と聞いたら、ハンナラの今の党首や高建などの名前が出てきた。しかし、まだ見えていないようです。

 今日はソウル大学で姜さんが仲人をする結婚式を見た後、韓国の若者達とちょっと長くお話をする予定。


2005年08月26日(金曜日)

 (18:11)確か去年来たのは連休中だったので、1年半ぶりに韓国に来ています。支持率が下がって再び政治的ピンチに立ち至っている盧武鉉政権の行方、韓国経済の現状、それに韓国の若い人たちとの意見交換が狙い。まあ、そんなに欲張った希望が満たせるかどうか分かりませんが。一言で言えば、定点観測です。

 今回は旧知の投資顧問会社の社長さん、そのお客さんの3人で来ているのですが、まだ着いたばかりなので、去年と今年で何が違うかと言われても、まだ発見できていません。相変わらず、人々は親切です。竹島の問題があったので、今後変化が見つかるかもしれない。

 韓国では盧武鉉の政権支持率がかなり落ち込んでいる。盧武鉉はハンナラに連立を持ちかけているが、ハンナラからは相手にされないという状況。まだ半分(2年半)任期が残っているのに、政策では点数が稼げない盧武鉉政権の先行きは不安定です。その辺も見たい。今回は市庁舎の真ん前のプラザが宿で、真下に広場が見える。内藤さんと来たワールドカップの時には、この場所が真っ赤でした。

 木曜日はインドから来た奥さんの弟さんの結婚のためにチャッタルジー(4枚目の写真の左端の彼)が日本に来たので、久しぶりに食事をしました。変わっていませんよ。ちょっと頭が薄くなったかな。

 今8000に近づいているSENSEXが、25000にまで上がるとの意見がインドではあるという。ははは。まあ、PERは低いので可能性がないとも言えない。彼は「銀行」と「インフラ」が良いと思うと言っていました。インドは私が行ったときにも、凄い建設ラッシュで、今もそれは続いているのだそうです。

 デパートも増えていると彼は言っていました。インドにも久しぶりに行きたい。今度はカルカッタとかマドラスとか。もう名前が変わっていますが。
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《 Korea, a very near country 》

 韓国は近い。これで羽田利用のソウル訪問は二回目ですが、九州に行くのと全く違いなしです。このくらい近いのだから、年に何回行っても良い気がする。考えたら、今回は韓国料理を一回しか食べなかった。韓国でなんとイタリアンを食べましたが、「江南地区」の、韓国の若者達が選んでくれたレストランは人気らしくて、小綺麗な人々がいっぱいでしたし、味も良かった。

 いくつか面白い、かつ韓国関連の明るい話題を拾いましょう。ソウルの東にあるKuriと表記される場所の8才の少年 Song Yoo gun 君は凄く優秀らしい。ついこの間に高校入学試験を受かったのですが、それからわずか3ヶ月後に高校卒業資格を教育・人間資源省から付与された。それで、大学入試にトライすることになったのだそうです。受かれば当然、韓国で一番若い大学生となる。Song君は、「嬉しい。受かったら、一生懸命勉強する」と新聞のインタビューにはにかみながら答えていた。しかし彼の父親は、「ちょっと早すぎる」と当惑しているという。教育熱が高い韓国ならではの話か。

 一方、韓国の国会ではコンピューター化が一歩進んだような。ピンクの風呂敷に重いファイルを抱えて議員が入ってくる姿はもはや昔のものになり、議員の議席の上には、thin client(ハードディスクのない端末)が置かれ、机の下にキーボードが配置されて、議員達はこのコンピューターのデスクトップ上で必要な資料を見ることが出来るようになったという。日本の国会で実現するのは何時になるのでしょうか。韓国はデジタル化では、日本の先を行っている。

 あと一つ。26日の韓国のある英字新聞には、「Korean Day at MLB」という見出し。韓国出身の3選手がMLBで同じ日に大活躍したというのです。大リーグ好きの私が見ていても、MLBには大勢の韓国選手がいる。主に投手です。で、いつも思うのです。彼等が活躍すれば、日本の選手が活躍したときの日本のように韓国では騒ぐのだろうな、と。その通りだったということです。

 スポーツでもう一つ。韓国でも女性が強い。姜さんの息子さんは、「オリンピックで韓国が取ったメダルの7割は女性が取っている」という。そこで私が、「日本もそんな感じだ」と言って、「なぜ日韓では女性がスポーツの世界で強いのか研究しよう」という話になった。これは私は検証してないのですが、確かに最近のオリンピックでは日本は女性優位です。先の国際陸上マラソンでのような男性優位は希有。

 韓国の女子ゴルフにも話題が飛びました。唯一女性で参加してくれた信榮君の彼女が、「韓国の女性は腰が強く、安定しているからではないか」と言うのです。具体的に何を指しているのか知りませんが、韓国の女子ゴルフの水準が高いのは確か。だったら、日本の女子だって強くなる可能性があるのに、と思いました。もっとも、これは一人の韓国女性の見解ですが。

ycaster 2005/08/29)



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